どんなエロゲー?
ミステリー系シナリオエロゲーの金字塔。エロゲーを知る人ならば1度は名前を聞いたことある人も多いのでしょうか。ミステリー物として本格的に謎解きをしていく今ではちょっと珍しいシステム『基本パート』『探索パート』『捜査パート』『推理パート』の4つのパートで成り立っています。
作品名 | 殻ノ少女 | ||
ブランド | InnocentGrey | ||
原画 | 杉菜水姫 珈琲貴族 | シナリオ | 鈴鹿美弥 |
ジャンル | サイコミステリィAVG | 体験版・デモ | なし |
あらすじ・概要(公式)
昭和三十一年、三月。
敗戦から十年が過ぎ、在りし日の姿を取り戻しつつある街、東京。
私立探偵の時坂玲人は、井の頭公園にてひとりの少女から変わった依頼を受ける。
「捜して欲しいんだ。――私を。本当の、ね」
同時期、巷では奇妙な猟奇犯罪が多発していた。
少女ばかりが誘拐され、身体の一部と子宮を切除されて殺される。
警視庁捜査課の魚住は、昔馴染みで元同僚の時坂に事件の調査を依頼する。
保谷町の端にある、私立櫻羽女学院。
時坂の妹紫が通う此処で、女学生がふたり行方不明となっていた。
学院の教頭の佐伯時生は、紫の兄である時坂に捜査を依頼する。
時坂は三つの依頼を同時に受けた。
佐伯の頼みを聞き入れる形で女学生の情報を探る為に櫻羽女学院へ教師として潜入する。
そこで――彼女と再会した。
朽木冬子。私を捜して欲しいと依頼した少女。
彼女は鈴の転がるような声で、少年のような口調で言う。
「やあ――また逢ったね、探偵さん」
犠牲者は増えてゆく。
簡単に思われた女学生の捜査すらままならぬ事態。
行方不明者と身元不明の遺体との数が合わない。
そして新たな犠牲者に選ばれたのは――
終わらぬ惨劇の輪廻。
新たな事件と共に訪れる、六年前の事件の謎とは――?
悲劇だらけの世界の殻を打ち破るのは、少女の微笑みなのかもしれない。
ポジティブレビュー

文章もくどくなくて、サクサク進むし、登場人物が多い割に無駄なキャラクターがほとんどいないのも見事。

個人的には被害者の友人キャラとして登場した佐東歩がお気に入りで、探偵助手を志望する彼女になんとも言えず萌えました。普通のゲームなら完全にモブキャラのポジションにいる彼女でさえ、こうした魅力を発見できる。(フラグがクソ面倒臭いものの)イベントの充実した良テキストの本作ならではだと私は思いました。つまりは名作であります。

余計なテキストが無くテンポが良いので没入感は非常に高い。各章のタイトルが乱歩の作品名になっているのも次は何だろうと先を読みたい気にさせられる。EDが複数あり捜査の難易度もまた高い。

独自の旗印を掲げる。萌え要素は一切なし。業界では唯一無二の存在。画風は「荘厳華麗」。その俺自身が一番気に入ったエロゲブランド『イノグレ』の至高なる一作は紛れもなく『殻ノ少女』です。
考察
エロゲーの別名は18禁ゲーム。性的表現が含まれていたり、グロテスクな表現だったりが未成年の成長に影響を与える可能性ある、ってことで18禁とされている。本作は「エロゲー」というよりかは18禁ゲームという言葉の方がしっくりくるような物語に仕上がっている。多くの評価者が世界観に魅了されている。独特の雰囲気を醸し出す絵タッチ、シナリオは唯一無二といっても良いのかもしれない。
ネガティブレビュー

CGは綺麗で美しいが、エロシーンは短くて、えっ、このタイミングで?みたいなのが多くてまったく使えなかった。エロゲとしてはどうかと思うが、推理物アドベンチャーとしてはとても楽しめた。

暗い感じのゲーム。鬱やグロ多し。死体のCG結構グロい。でもまあ、このゲームってそういう雰囲気のゲームですからね。
考察
名目上は「エログロ」という分類にも属する本作。グロテスクな表現が作品中に鏤められており苦手な人は苦手ともいえるジャンルである。エロゲーという目線でみるとすれば「エロ」部分は本当におまけ程度なものであり、目的が「エロ」であるならばお門違いな作品ともいえる。
総評
ミステリー系エロゲーとしては唯一無二ともいえる独特な雰囲気を醸し出し多くのプレイヤーを魅了した本作。攻略難易度も決して優しいものではなく攻略サイトを見ないと進めることができないって人もいるかもしれない。体験版は残念ながらないのであるが、本格的なミステリーエログロゲームがやりたいって人には間違いなくおすすめできる一本なので安心してプレイしてほしい。シリーズ化もされておりプレイするならばまずは本作から(細かくいうと本作より前作もあるんだけど)プレイすることをおすすめする。